たまかづらはことばや心に関するさまざまな記事です。


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  学習心理学は人が経験を通して行動を変容させていく過程、すなわち学習を研究する心理学の分野です。学習心理学は教育心理学の領域で重要な分野となっています。教育心理学は、主に乳児期から青年期にかけての人間の精神および知能の発達や人格形成などと教育の関係に焦点を絞った心理学で、教育の過程でおこるさまざまな現象を心理学的に明らかにして効果的な教育の方法を見つけだすことを目指しており学校教育で必ず考えねばならない事柄を扱います。
最近よく聞くようになった「非認知能力」は意欲、集中力、忍耐力、創造性など、これまでの記述式の方法では評価が困難であった能力です。学力(認知能力)と対照的に用いられる言葉です。ペリー就学前プログラム結果とジェームズ・J・ヘックマンの研究(2000年ノーベル経済学賞を受賞)で初期教育の重要性が認識されてからは幼児教育や小学校教育で非認知能力の育成が重視されるようになりました。学習心理学には非認知能力が大きく関わっています。平成29年度告示の「小学校学習指導要領」では、「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」が強調しています。この生涯にわたって能動的に学び続けることを重視したアクティブラーニングの考えは非認知能力を伸ばすことが基礎になっています。
好奇心は学習意欲を高めますし、集中力の低下は学習効率を低下させます。非認知能力は学習に大きな影響を及ぼしていることに違いありません。非認知能力についての研究成果が学習心理学に取り込まれて行けば学習糧のみならず教育全体に大きな変化が現れる可能性があります。



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 高齢化社会が問題になっているなかで認知症などの脳の働きについての関心が高まっています。近頃では脳科学という言葉をよく聞くようになりました。脳科学とはヒトを含む動物の脳とその行動をあつかう科学の分野です。対象とするのは視覚や聴覚認知など感覚に関するもの、記憶、学習、予測、思考、言語、問題解決など高次認知機能と呼ばれるもの、情動に関する心理など人間の活動に広く関わっています。そして近年、話題となっているAIは計算論的神経科学という脳科学の分野になります。脳科学の発展で、これまで分からなかった人間の行動の仕組みが解明されるようになってきました。神経科学は脳の構造を、心理学は人間の行動を解明するのもで、計算論的神経科学は結果を予測するものです。これら要素を組み合わせれば人間の心の働きや行動に関する多くの問題を解決することが可能になるでしょう。
脳は子供の時期に急速に発達します。特に学童期の学びは、その後の一生にわたって影響すると言っても過言ではありません。小学校での学びは学習指導要領に沿って行われ、その達成度は試験で評価されますが、子どもが学習の過程でどのように理解してゆくかの仕組みはよく分かっていません。これは理解の過程には集中力など従来の記述式の試験の点数では測れない要素が多くあるためです。学習には集中力の維持や好奇心などの非認知能力が重要になります。これらは従来の記述式の試験では評価することが難しいため指導の効果を判定しながら指導を進めることが困難でした。非認知能力すなわち人の心の活動性を定量評価することができれば、より効果的な学習方法を作ることも可能になるでしょう。これは子どもの学習のみならず大人や高齢者でも活用ができる方法になると考えられます。



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 日常の業務のなかでは多種多様な報告書が動いています。報告書には単独の案件についての経過報告や、ある課題についての情報収集のために多数を集めるものなど、さまざまな目的のものがあります。報告書は記載形式の大枠はあらかじめ決められていますが、各部の内容は自由記載になります。自由記載は担当者であってこそ分かる内容が記録されているため重要な情報が多く含まれています。情報収集目的で集めた多数の報告書は内容を比較分析する必要がありますが、これには逆に多様性が障害となります。自由記載の報告書は文章形式や情報量についてはばらつきが大きく、複数の事案を一定の基準で比較検討することは容易ではありません。このため、多くの報告書が集まっているにも関わらず、得られた情報が分析されず施策に活用されていないというようなことがおこります。
 膨大な情報を短時間で処理することはAIの得意とする分野であり、自然言語処理の技術を応用すれば報告書の内容につてパターン化して分析することが可能です。近年、重要視されるようになってきているEBPM(Evidence Based Policy Making)は地域の実際の状況を定量評価して政策に反映させることを目的にしています。統計データで蓄積された数値はこれまでの経過を示す確実なデータとなりますが、報告書に記載されている数値にならない事柄は現在進行中の問題であり行政にとっては非常に重要な情報です。このような報告書の情報を簡単に分析することが可能になれば、統計データを踏まえたうえで将来への問題解決策の立案も可能になりますし、なによりも報告書を書いた人の考えを知ることができるのです。



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